前回まで創業時の資金調達方法として他人資本のうち借り入れが現実的な方法だということを書きました。
借入先として頭に浮かぶのが銀行です。

銀行

まず、銀行という言葉の意味を確認しておきましょう。
広い意味での銀行は、受信業務(お金を預かる仕事)と与信業務(お金を貸す仕事)の両方を行います。
ノンバンクは与信業務は行いますが、受信業務を行わないため銀行ではないのです。
広い意味での銀行には信用金庫や信用組合も含まれますが、狭い意味での銀行という言葉は営利目的の事業者を指しますので公益目的を含む信用金庫や信用組合を含みません。
狭い意味での銀行の代表格としてメガバンク(大手都市銀行)が挙げられます。
個人事業主への創業融資は期待できません。
選択肢からは外れる人が多いはずです。
冷たいとか温かいとかいう話ではなく、先程書いたように営利追求が目的のメガバンクに個人に対する創業融資のリスクは取りにくいと考えた方がよいのです。
店舗数が多いため、口座があるとお客様には便利ですが、屋号付き口座の開設を断られても、口座開設を目指して頑張りましょう。

次に銀行としては地方銀行があります。
特定地域での店舗数が多い傾向があります。
創業時の融資は難しいかもしれませんが、金利については柔軟に対応してくれる可能性があります。
通常、連帯保証人、保証会社や保証協会の保証が必要になりますが、事業がまわるようになったら融資が受けられるようにお付き合いしておくのもよいかもしれません。

ネット銀行は、実店舗をもたない分、金利が安くなる可能性がありますが、反対に実店舗がないので、何かあった時に連絡を取るといっても顔見知りでないという弱点もあるので、サービス内容に納得できるなら利用してもよいと思います。
審査の厳しさはリアル店舗を有する銀行と同等と考えていた方がよいでしょう。
ネット銀行ではお客さんに信用が得られないという人がいますが、業種にもよるのではないでしょうか。振込手数料が安いならその方がよいというお客様も多いはずです。

信用金庫・信用組合

一定の範囲で公益的な目的を有するのが信用金庫と信用組合です。
一定地域での会員や組合員に融資してくれる可能性はあります。
会員、組合員といっても一定範囲に居住している人であれば口座開設ができることが多いです。
相手にしてもらえやすい金融機関といえますが、連帯保証人、保証会社や保証協会の保証が必要になるのは狭い意味での銀行と同様と考えた方がよいです。
相手にしてもらえやすいものの金利についてはメガバンクが取れないリスクを取る可能性があるため、高めになるのは覚悟しましょう。
高めの金利を払えば必ず貸してくれるわけではありません。

以上の民間金融機関の特徴をまとめると、いずれもプロパー融資(保証が必要な直接融資)は難しいうえ、保証を受けたとしても創業融資のハードルは高いといえるでしょう。
民間で厳しいとなると次は政府系の金融機関ということになります。

日本政策金融公庫

創業融資の一番現実的な借入先は日本政策金融公庫(昔の国民金融公庫=国金)です。
政府系の特殊法人です。
なんだ結局そこかと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、この手の話は「あなただけに」とか「うまい方法がある」というのが一番怪しいのです。
保証人や担保が不要のケースも多く、金利も低めです。
上手く融資を受けられ、きちんと返済すれば実績になるため民間の金融機関での融資も受けやすくなります。
日本政策金融公庫の創業融資を受けられるように、審査に通りやすい創業計画書、事業計画書や自己資金を準備しましょう。
いきなり審査に行くのではなく、詳しい人にアドバイスを貰った方がよいですが、知り合いにいない場合は創業融資のアドバイスを行っている専門家にご相談ください。