行政法を勉強した経験者としてその特徴を書いてみたいと思います。

よく言われることですが、行政法という法典はありません。
民法や刑法は民法典、刑法典という条文が集まった法律が存在します。
行政法では行政法典という法律自体が存在しないのです。
行政を規律する個別の法律の集まりを対象として、その指導原理などを学んでゆきます。
指導原理というのは共通のルールのようなものです。

民法などは勉強すると民法自体に詳しくなります。
行政法は共通ルールを勉強するので行政法を勉強してもすぐに各特別法に詳しくなるわけではありません。
特別法というのは一般法に対して特別に規定されている法律です。
例えば私人間の法律関係を規定するのは民法ですが私人のうち片方が商人だと商法が適用され、商法は民法の特別法と言われるのです。
法律の世界では特別法が一般法に優先するというルールがあります。

行政法の内容をなす個別の法律はたくさんあるので、全部に詳しいという人はあまりいません。
行政法を勉強して行政法内の各分野の共通のルールを学び、この行政法規はあの分野だからこの条文はこう解釈するはずだというように、行政法で勉強したことと、他の法律と同じ様に勉強した個別の行政法規を重ねて読む感じになるのが行政法の特徴です。

いろいろな法律を勉強したことがありますが、行政法はかなり変わった特徴を持っています。
個別の行政法規を勉強するのは行政法の勉強ではないのかと言われれば、それも行政法の勉強ではあります。