弊所では遺言書を作る前にリビングウィルを作成することをおすすめしています。

なぜなら遺言書は遺言を残した人が亡くなるまで開封されることはほとんどないからです。

リビングウィルとは認知症で意思表示できなくなったり、意思表示はできても自分で財産管理ができなくなった場合に備えて治療の方針や財産の使い方について書き記した文書です。

リビングウィルと呼ぶかどうかは重要なことではありません。

遺言書のように法律で方式が決まっているわけではないので、手続きが決まっているわけでもありません。

ただ、文書としての証明力が弱ければ問題が生じるのは遺言書と同じです。

そのため専門家の関与のもとに作成されることをおすすめします。

自分で自分の財産管理ができなくなった場合や病気で明確な意思表示ができなくなった場合に備え終末医療や財産管理についてリビングウィルを作成することはとても重要なことなのです。

医療についての支出のため預金の払い出しや財産を処分していると、相続開始時に他の相続人から懐に入れていたのではないかと疑いをかけられることがあります。

つまり相続が始まってから揉めるというよりも相続開始前に揉める原因が出来上がっているわけです。

そうならないためには生きている間に成年後見制度などを利用し第三者に関与してもらうことが有効です。

もちろんリビングウィルを作成される方の意識状態によっては成年後見以外の制限行為能力者制度を利用することもあります。

後に揉めた時、財産管理は成年後見人が行い、財産の使い方についても公正証書でできたリビングウィルがあれば証明手段としてはとても有効な手段となるのです。

自分が意思表示できなくなった場合に、意に反した延命治療などをされることも不本意だと思いますし、治療の際の財産の使い方なども自分の意思でコントロールできるならそれに越したことはありません。

何より後に揉め事がなくても自分の意思どおりに治療をしてもらったり、財産を使ってもらえるというだけで作成しておく意味があるのです。