相続分野での法改正のポイントをまとめてみたいと思います。

自宅絡みお金絡み遺言絡みの3つに分けてご説明します。

自宅絡み
1配偶者居住権が新設されます
配偶者は同居していることが多いですから居住のために自宅を相続すると他の相続財産の相続分が少なくなり生活費に困るという事態が生じていたため、自宅を売ったり貸したりしたり出来なくなるものの、他の相続人と共有状態で低い評価学額としたうえでで住み続けられる制度になります。

2自宅の生前贈与が特別受益の対象外になります
これまで一定期間内に被相続人から財産を得ていた場合は特別受益として相続分から差し引かれていました。
今回の改正で結婚20年以上の夫婦の場合、配偶者に自宅を生前贈与又は遺贈した場合には特別受益の対象から外れることになりました。
その分配偶者は多く相続できることになります。

お金絡み
3遺産分割前でも預金の一部払い戻しができるようになります
これまでは遺産分割が終わるまでは預貯金の払い戻しをすることは出来ませんでしたが、遺産分割前に預貯金の一部の払い戻しができるようになります。
預貯金全額に対する割合や一人の相続人が一つの金融機関から引き出せる額に制限がありますが、家庭裁判所の許可などは不要になります。

4被相続人の介護、看病などをした親族からの金銭請求ができるようになります
これは相続人でなくてもできるようになります。
つまり寄与分とは異なる制度です。
例えば被相続人の息子の嫁は通常相続人にはなりません。
そのため舅や姑の面倒を見ても金銭的な請求をする制度はありませんでした。
介護や看病をした親族から相続人に対して金銭的な請求を認めるのが今回の改正で新設される制度です。

遺言絡み
5自筆証書遺言の財産目録がパソコンで作成可能になります
自筆証書遺言の場合全てを自筆で書く必要がありましたが財産目録の作成がパソコンで可能となります。

6自筆証書遺言の保管が法務局でできるようになります
自筆証書遺言では他者が遺言書の作成にかかわらないので見つからなかったり改ざんの可能性がありました。
このような不都合を回避するため法務局で保管できるようになります。
法務局で保管された自筆証書遺言書は家庭裁判所での検認も必要なくなります。