自分のサイトに他人のパソコンのCPUを使って仮想通貨をマイニングするコインハイブを保管したとして刑事罰に問われた男性の判決が出されました。

刑事事件としては珍しく無罪判決が出ました。

この事件をもう少し詳しくご説明致します。

罪名は不正指令電磁的記録保管の罪(刑法第168条の3)です。

馴染みがないかもしれませんが2011年の刑法改正で新設された刑法上の犯罪です。

通称ウィルス罪などと呼ばれます。

つまりウィルスを作成や提供するだけでなく保管していることについても罪に問われるのです。

裁判での争点は主に

1.コインハイブが不正指令電磁的記録にあたるか、つまりウィルスのようなものなのか

2.実行の用に供すると目的があったと言えるか

3.故意があったと言えるか

です。

不正指令電磁的記録にあたるかですがこれについては主に「反意図性」と「不正性」をもとに判断されます。

[反意図性]について裁判所はプログラムがマイニング実行についての同意を得る仕様になっていなかったことやサイト閲覧者がマイニングの実行について気づきにくい仕様であったことなどから反意図性を認めています。

「不正性」についてはユーザーの信頼を損なうものであるものの広告表示プログラムと大差ないことから社会的に許容されていないと断定することは出来ないとして不正とまでは言えないという判断をしました。

以上のことからコインハイブは不正指令電磁的記録には当たらず男性は無罪となったのです。

男性はウェブデザイナーであるためこのような事案が取り締まられるとIT業界に良くないことから裁判で争う気になったようです。

ただ他人のCPUを使うのは他人のパソコンの使用窃盗のようなものです。

現在使用窃盗については刑法上責任を問われませんが決して褒められたことではありません。

この手の技術を開発するのに本当に他人のパソコンを使用する必要もありません。

2台使うか知り合いに協力してもらえば良いだけです。

このような事情を考えると法律で線引をするか自粛すべき利用法ということが言えるのではないでしょうか。