2017年に中国でウルトラマンのCG映画が公開されて円谷プロが全く関与していないことが話題になっていました。

ニュースが流れた時に映像を見ましたがウルトラマンのキャラクターが微妙に違うので日本人からするとなんだか馴染みのあるウルトラマンではないという印象でした。

ただ映像のスケールは大きい感じがしたので著作権侵害になる映画をこれだけ堂々と作ってしまうのかと感じていました。

忘れかけた頃にこれに関するニュースが入ってきました。

中国というと海賊版が横行しているという印象がありますが、決して著作権侵害が認められているというわけではありません。

むしろ最近は中国人自身も著作権絡みで偽物を作ってしまうことを恥ずかしいと感じているようです。

今回の事件も全く権利関係を無視して作ったわけではなくアメリカのユーエムという会社がウルトラマンシリーズの海外版権を扱う権利を円谷英二氏の息子から取得しているとして中国の会社に使用許諾を出していたという経緯があったようです。

これに対し円谷プロはアメカ(U.S.A)のカリフォルニアで訴訟を起こしタイ人実業家が円谷英二氏の息子との間で結んだとされる契約が真正なものではないという判決を得ています。

更に、中国版ウルトラマンの映画を作成した中国のブルーアーク(広州藍弧文化伝播有限公司)という会社を相手取って上海で訴訟を起こしていました。

この訴訟に円谷プロが勝訴しました。

アメリカでのウルトラマンシリーズの版権を取り扱う契約が無効という判決は中国では外国判決となります。

直ちに中国の裁判所がアメリカの判決の効力に拘束されるわけではないのです。

これまでなら外国判決なので中国で裁判をやり直す事になったり、アメリカとは異なる事実認定をして中国企業が保護されるなどということが起こりそうな印象がありますがそうはなりませんでした。

中国の裁判所は仮にユーエムが持つウルトラマンシリーズの利用権が正当なものであったとしても、キャラクターを利用したり、一部変更を加えたキャラクターを利用して映画を撮影する権利までは含まれないとして円谷プロを勝訴させました。

中国の裁判所の面目躍如と言ったところでしょうか。

円谷プロも流石に3分で勝つというわけには行きませんが知的財産の侵害に対し、変身もせず、スペシウム光線などの必殺技も使わずに勝っているのは素晴らしいと思います。