最近、このブログの「平和の祭典に見る平和でない話」という記事の中でオリンピックの香港代表の話に触れました。

その香港代表選手の中から香港の中国返還後、初の金メダルを取った選手が出ました。

フェンシングの個人男子フルーレ代表の張家朗選手です。

ところがこの試合が香港のショッピングセンターで中継され、表彰の際に中国国歌が流れるとブーイングが起き、「We are Hong Kong.」とコールする声が上がりました。

これについて香港警察は防犯カメラの映像を分析し、国歌条例違反の疑いで男性1人を逮捕したのです。

中国人というよりも、香港人であるという意識の強い香港の人達ですから、このようなことが起こっても不思議はありません。

ただ、大規模なデモが起こった後なので、このような反政府的な行動をとると逮捕されてしまう可能性が出てきます。

デモのきっかけになった逃亡犯条例の改正案は一度撤回されていますが、今年の6月に一部内容がかぶるような国家安全法が成立しています。

高度な自治が認められている香港では通常、香港で捜査し、裁くことになりますが、国家安全法によれば限定的にはなりますが、中国大陸へ連れて行って裁くということが可能になってしまいます。

香港政府レベルでは、逃亡犯条例について一歩引き下がったように見えますが、国家レベルでは別の方法できちんと手段を講じているということになります。

これについて逃亡犯条例が成立したのとあまり変わらないと評価する人もいます。

今回のショッピングモールの事件も一見国家安全法とは無関係に見えますが、国歌が流れた際に、不敬な態度や発言をしたことが「国家を分裂させる行為」や「政権を転覆させる行為」と評価されれば、中国大陸で裁かれる可能性も出てきてしまうことになります。

普通に考えればそのような行為ではないので、連れて行かれるということはないと思いますが。