民法上、子の父母は婚姻中、共同で親権を行使しますが、離婚に際してどちらか一方を親権者と定めます。

この単独親権の制度が法の下の平等に反するとして国家賠償を求めた裁判の控訴審判決が東京高等裁判所でありました。

結論として民法の規定は違憲ではないとして、請求は棄却されました。

子の利益を最大化する立法目的には合理性が認められ、離婚後に共同親権を定めるかどうかは国会の裁量に委ねるべき問題で、規定が憲法に違反することが明白とは言えないと判示しました。

この判決では民法に定めた親権制度の立法目的を審査し、合理性があると認定しています。

そのうえで法律に定めた内容は国会の裁量の範囲内であるとしました。

このように立法内容が国会の裁量に属するのであれば、裁判所が違憲かどうかを判断する場合、立法機関の判断が明白に違憲であると言えるような場合でない限り裁量権の逸脱はないということになります。

このような基準に基づいて判断されたのが判事事項の後段部分になります。

親としては自分にも親権が欲しいし、婚姻中は共同親権が認められているのだから問題ないではないかという気持ちなのでしょう。

離婚後に共同親権すると、婚姻していないにもかかわらず両方の親から親権についての判断をもらわないと事が前に進まないということになるので、離婚後に共同親権を認めてしまっては、かえって子の福祉に反するという趣旨で民法の規定が設けられているのだと思います。

制度の内容については一応両方に親権を認め、子に選択させるなどの選択肢もあると思います。

ただし、このように共同親権を含め別の制度にしたい場合、立法の問題となってしまうため裁判所では結論が出ない問題ということになります。