昨年の国会に入管難民法の改正案が提出されました。

スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが、入管施設内で亡くなった事件もあり、入管の外国人への対応方法が問題になっていました。

この他にも外国人への取り扱いが人権問題として取り上げられることが多く、改正案では人権保護が不十分だとして政界以外からも批判の声が出ていました。

これを受け昨年の国会で入管法改正案は不成立となっていました。

政治戦略としては、今月召集予定の国会に再提出するという方法があります。

実際に法務省はこの道を探っていたようです。

人権上問題がある法制度にしようという意図はないのだと思います。

長期収容されている外国人を退去強制できるようにすることが目的だと思います。

難民申請の手続き中は送還が停止され、その間入管施設に収容されます。

この制度を悪用し、母国へ帰りたくない外国人は難民ではないと認識していながら難民申請をするのです。

これが入管行政を混乱させるだけでなく、長期収容の原因になっているのです。

そのため送還停止に期限を設け、長期収容を避けるために改正法案の再提出の道を探っていたようですが、与党は参議院議員選挙を前に、改正案に対する批判が根強いことから、改正法案の国会への再提出を見送るようです。

時期が悪く法案自体の再提出できなため、難民申請した外国人は収容が続くか、仮放免となります。

仮放免となった外国人のうち既に400人以上が逃亡してしまっている状態です。

このような外国人がワクチン接種を受けられるかどうかということを考えると、入管制度だけの問題では済みません。

治安だけでなく、新型コロナウィルスの感染拡大の原因になる可能性も出てくるのです。

人権保護に厚い改正案の作成を急がなければならないのはもちろんですが、時間がかかるなら収容期限だけに争点を絞った改正を先に行うのも1つの方法だと思います。

ただ現行法の運用状況を考えると、現状のままで収容期限を設けた場合、難民であるかもしれないのに送還されてしまう可能性が出てくるという批判を法務省は重く受け止めなくてはなりません。