最近、立て続けに、福島県の原発事故の裁判についての記事を書きました。
法的な救済は、事後救済ですから、過去の出来事として扱われます。
しかし福島県の原発事故は、まだ過去の終わった出来事として見ることは出来ません。
放射性物質に汚染された汚染水の処理の問題があるからです。
処理方法についても議論がありますが、薄めて流すというのが現実的な方法だと思います。
実際に放水するということで事が進んでいます。
政府からは、東京電力に対して「些細なミスもないように」と正に水も漏らさぬように指示が出ているようです。
仮に汚染水の処理の過程で損害が発生した場合、これを原発事故の拡大損害と見るか、原発事故とは別の、保管していた汚染水の取り扱い事故と見るかは、法的な議論もありえるところです。
実際には、原発事故は過去の出来事として一区切りついているとして、別の事故として取り扱われるのではないかと思います。
原発事故は直接は自然災害が原因ですが、汚染水の処理で事故が起きるとすれば、それは人の行為が原因である可能性が高いことや原発事故からは時間が経っていることなどが、その理由として考えられます。
やっかいなのは風評被害です。
損害として算定しにくいにもかかわらず、被害としては確実に存在するからです。
しかも、この手の問題は、問題が起きているとして取り上げてしまうと、被害者の被害がさらに拡大するという危険をはらんでいます。
単なる風評ではなく実害があるとすれば、生命や健康に対する影響も考えられますので、科学的なデータに基づく情報の透明性が確保されなければならない問題です。