東京大学の研究チームが、ウィルスを使った脳腫瘍の治療の治験結果を発表しました。

ウィルスを使った治療薬を作り、悪性腫瘍の患者に使用したところ、1年後の生存率は84.2%でした。

脳腫瘍での結果ですが、悪性腫瘍での1年後生存率が84%以上というのはすごい数字です。

膠芽腫(こうがしゅ)という悪性腫瘍の場合、再発後の生存率は14%程なのだそうですが、その再発患者に使っても84%以上という高い数字を示しているのです。

治療薬は口唇ヘルペスの原因になる、単純ヘルペスⅠ型というありふれたウィルスをもとに作られています。

治癒される仕組みは、この薬に限らず、ウィルスは単独では増殖せずに、細胞に寄生して、増殖しますが、この治療薬のウィルスは、健康な細胞の中では増殖せずに、がん細胞の中では増殖します。

がん細胞の中でウィルスが増殖することにより、その細胞を破壊してしまうのです。

がん細胞は破壊するけれども、健康な細胞は破壊しないという非常に理想的な働きをしてくれます。

しかも注入箇所だけでなく、1つ細胞を破壊すると、さらに周辺のがん細胞も破壊するという効率の良さです。

今流行している新型コロナウィルスの原因もウィルスです。

結局ウィルスに善も悪もなく、人間にとって都合が良いか悪いかなのだと思います。

しかし毒のように、人間にとって都合が悪いものでも、そこから血清が作られ、人の役に立てられるように、ウィルスも使い方次第なのだと思います。

脳腫瘍だけでなく、他のがん細胞の治療にもつながっていけばよいのですが。

今後の研究が期待されます。