国が公表する統計に不正があったせいか、統計に関する文書管理について調査が行われました。
内閣府の発表によれば、主要な統計のうち29の統計で、適正な手続きによらずに文書の廃棄が行われていたことがわかりました。
行政文書を廃棄する場合、公文書管理法によれば、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければならないことになっています。
この手続きを経ないで文書が廃棄されていたのです。
行政手続きに精通しているのが各省庁の職員ですから、忘れたとか、知らなかったということはないと思います。
おそらく、内閣総理大臣に協議してしまうと、不正や誤りがあった場合に、内閣総理大臣が知らなかったとは言いにくいため、協議せずに廃棄するという慣行が出来上がってしまったのではないかと思います。
このような慣行が出来上がってくると、更に各省庁にデータが上がってくる前に、隠蔽や改ざんが行われることになります。
特定の職員がデータを書き換え、それがわからないまま統計が公表されてしまうということもあるかもしれませんが、組織的に不正な数字が作り出されるようにもなっていくのです。
隠蔽や改ざんだけでなく、バレてしまった場合に責任の所在がはっきりしないような方法が作られていくところにも、役人の優秀さが発揮されてしまいます。
公文書の開示請求では、改ざんされたデータに関する文書は出てきても、どのように責任の所在をわからないようにしたかという文書や誰がその指示を行ったかという文書は出てくることはありません。