外国人技能実習制度を含め、特定技能の在留資格についても検討するという方針を法務大臣が打ち出しています。

特定技能という在留資格ができて、本来、外国人に技能を習得してもらう制度だった外国人技能実習制度が人手不足を解消する手段になってしまっているという現状を改善するためです。

現場で、これに逆行する運用をしようという動きがあります。

特に介護の現場では人員不足が深刻です。

厚生労働省は技能実習生を、就労開始後、人員として算入できるように検討に入りました。

これでは技能実習制度の見直しという方針からは程遠くなってしまいます。

外国人に日本で技能を習得してもらうという本来の制度目的とは別に、日本で人手不足が深刻なので労働力として使いたいという意図が丸出しになってしまっているのです。

国際貢献という本来の制度趣旨とは程遠いものです。

厚生労働省側は、就労直後から人員に参入することで処遇改善につながるとしていますが、これまでの実情から考えて詭弁であるとしか思えません。

処遇を改善するなら、制度というより、受け入れる側が、より好条件で受け入れれば良いだけの気がします。

直接受け入れ条件や基準を設定するのではなく、「人員」に算入というのは、忙しい現場で新入りが「今日からあなたもローテーション入りね」と言われているのと同じようにしか聞こえません。

案の定、この意見が提案された社会細湯審議会でも批判的な意見が出て、継続審議となってしまいました。

人手不足確保のためではないという反論もあるようですが、それではなぜ人員に算入という手段なのかがよくわかりません。

仮に違うにしても、人手不足という現実はあるわけで、人手不足を解消するなら、それ相応の在留資格でストレートに受け入れるべきなのだと思います。

それでは人材が確保できないのなら、何か原因があるはずで、その原因は、過去を振り返って考えてみましょう。