SFみたいな話ですが、この世には、我々の身の周りにある物を構成する物質と、正反対の性質を持つ反物質があります。
正反対というのは陽子や電子が反対の性質を持っているということです。
電気的に反対の性質を持っているだけで、見えたとしても、見た目には身の周りにあるものと区別つきません。
見たことがないので信じられないかもしれませんが、それは反物質が物質と正反対の性質を持っているため、この2つが出会うと消滅してしまうからです。
実際に、がんを検査するときに使うPET(陽電子放射断層撮影法)では、この反物質を利用しています。
PETの仕組みは、ブドウ糖に放射性同位元素を仕込んだ薬剤を患者に投与します。
ブドウ糖はがん細胞に集まります。
なぜなら、がん細胞は糖分をエサに増殖を繰り返しているからです。
そして、放射性同位元素の原子核の中の陽子が中性子に変わる際、陽電子(反物質なので電荷は+です)が放出されるβ⁺崩壊が起こります。
陽電子は周囲の物質の電子と出会って消滅してしまいます。
この時ガンマ線が放出されるので、PET検査では、このガンマ線を検出器で捉えることで、がん細胞の位置を特定しているのです。
重力にも同じように反重力が存在し、反物質は浮くのではないかという学説がありました。
90年以上もの間議論されてきました。
今回、カナダ、アメリカ(U.S.A)、イギリス(U.K)などの国際研究チームALPHAが、反物質である反水素を用いて、反水素が下に落ちるということを実験で確認しました。
つまり、反重力は無く、反物質も落下することが実験で確認できたのです。
反物質でできた自分の分身がいても、空は飛べないことになります。