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土俵際

大相撲春場所の千秋楽で行司軍配差し違えがありました。

霧島ー琴の若の一番で立行司、木村庄之助が行司軍配を差し違えたのです。

木村庄之助は打ち出し後に、八角理事長に進退伺を申し出ました。

ここまで聞くと、行司の仕事の重さをわかっているという意見や、そこまで深刻に受け止めなくても良いのではという意見も出てきそうです。

しかし、これまでの経緯を知ると、そうも言っていられない部分もあるのです。

もともと行司は懐に小刀を忍ばせています。

行司軍配を差し違えた時に、自害するものとして持っていたものの名残りです。

相撲は神事ですので、そのぐらい責任の重い仕事でした。

現在では、そこまでの責任を問われませんが、ビデオ判定で結果がわかれば良いという他のスポーツと一緒にできない部分はあって良いと思います。

ただ、今回の問題は行司の襲名問題も背景にあって、単に行司のあり方の問題だけではないのです。

昨年まで、行司の最高位である立行司、木村庄之助は8年以上空位でした。

現在の木村庄之助は、それまで5年以上、式守伊之助として土俵を裁いて来た人です。

式守伊之助としては、11回行司軍配を差し違えています。

最高位の木村庄之助を襲名させることに疑問の声があったぐらいです。

その式守伊之助を木村庄之助に昇格させるという話が出た時、当時、事実上のナンバー2で三役格行司だった木村玉治郎が退職しています。

背景に、式守伊之助の木村庄之助昇格や、事実上のナンバー3が、空いた式守伊之助に内定しているのではないかということが言われていました。

現在の木村庄之助は今年定年になる予定で、花を持たせるために、定年直前に木村庄之助に昇格させるのではないかということまで言われていました。

このような背景があるので、木村庄之助としては初めての行司軍配差し違えですが、進退伺を出すのは無理もない気がします。

土俵際と言って良い状態なのです。

角界は、力士の暴力問題だけでなく、行司の襲名問題でも、因襲を変えていかなければならないようです。

尊富士の幕内優勝という良い話題があっただけ良かったかもしれません。

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