これまでのアメリカ(U.S.A)の政治体制は、共和党がだめなら民主党、民主党がだめなら共和党というように、軌道修正を繰り返して、健全性を維持してきたように思えます。
もともと大きな価値観の違いがあっても、政治体制が揺り戻されることにより真っ当な道が模索されてきたと言ってよいのではないかと思います。
しかし、ここへ来てアメリカ国内で分断が起きていると言われている背後には、価値観が2つに分かれているだけでなく、それぞれの価値観に基づいてに何に着目するかによって意見が分かれているように思えます。
アメリカ連邦議会の下院でTikTokを親会社の中国企業から1年以内に切り離さなければ、アメリカ国内での事業を禁止するという法案が可決されました。
TikTokの動画を作る方も、見る方も、夢中になりすぎて様々な弊害が出ていると言えば、個人や社会の健全性を保護するのが目的のようにも思えます。
しかし、中国の親会社から切り離せというのは、単に米中の国同士の争いに国民や企業が巻き込まれているだけとも言えます。
更に、次のアメリカ大統領選挙へも影響していて、トランプ氏はTikTokが禁止になるなら、それはバイデン氏に責任があると発言しています。
様々な違法なことをしてきた人でも、このような発言だけを見ると表現の自由の擁護者のようにも見えてしまいます。
アメリカの中心的な価値観の1つである自由も、すでに様々な問題を抱えていて、異なる視点から反対意見を述べれば、結構常識人に見えてしまう、そんな状況がいろいろなところに生じているように思えます。
ある特定の主張をする人自身が、どんな人かというより、その人の考えにより状況がどう変化するのかが重視される結果、奇妙な法案が可決されるようになってきているのです。
カオスな状況の中、従来の価値観に基づいてなされる特定の主張が、自分が望むのに近い状況に変化するなら賛成にまわる結果、全体としてみると奇妙な結果をもたらしてしまうという現象です。
日本人からすれば訴追されても不思議はないトランプ氏ですが、次の大統領選挙で全く芽がないわけではありません。
というよりも、優勢な州も多数存在します。
前回当選したときも不利と言われながら当選したこともあってか、もしもに備えて麻生氏が訪米し、トランプ陣営に接近を試みています。
勿論、個人的な興味ではありません。
バイデン大統領は当然不快感を示しますので、岸田総理ではまずいですし、かといって無名な政治家が行っても人脈づくりにはなりません。
損な役回りですが、元総理の麻生氏が適任ということになります。
バイデン陣営にとっては不愉快かもしれませんが、日本にとっては必要なことになります。