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人の上に人をつくらず

愛知県の名古屋城の天守は、耐震性の問題などもあり改修が必要となっています。

改修にあたり、木造で復元するという案が出ているのです。

これまでの名古屋城には天守に上がるためのエレベーターがありました。

これを木造で復元するにあたり、昇降機やエレベーターを設置しない方向で話が進んでいたのです。

そのうえで、2023年に市民討論会が開かれていました。

障害者の方からバリアフリー化する要望が出され、それに対して参加者から「平等とわがままを一緒にするな。どこまで図々しいのという話で、我慢せいよという話なんですよ」という発言や、障害者の方がエレベーターの設置を求めると、「生まれながらにして、不平等があって平等があるんですよ。障害があって生まれるかもしれないけど、健常者で生まれるかもしれない。それが平等なんです」といった発言が出ていました。

名古屋市の前市長も参加する討論会でこのような発言がなされ、問題となっていました。

難しい問題だと思います。

発言自体は、差別的発言と言われても仕方ない発言なので問題外だと思います。

しかし、お詫びの印に、市がエレベーターを設置するというのも違う気がします。

元々名古屋城は、歴史的遺産ですから、元の形に近い状態で復元するという案が出ても不思議ではありません。

お城は、元々敵の侵入を防ぐようにできていたわけですから、忠実に復元すればする程、決して障害者の方に出入りしやすい状態にならないことは明らかです。

一方障害のある方も、歴史遺産を見学したいと、天守まで行ける手段を要望として出すのは無理もないと思います。

結局、歴史的な遺産として忠実に復元するのか、それを犠牲にしても、多くの人に見学しやすい施設にするのかという判断になってくるのだと思います。

単に、天守に出入りできるかどうかの問題だけでなく、非常時の避難手段も含めて、総合的に検討する必要があると思います。

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