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窮すれば通ず

刑法が改正され、懲役刑や禁固刑がなくなり、拘禁刑に変わっています。

刑務作業が義務ではなくなっているのです。

ただ、懲役刑があるときも、禁固刑でも刑務作業を希望する人がかなりの割合でいました。

そのため、拘禁刑に変更されても、この傾向は変わらないと思います。

そうした、刑務作業により行われているものの1つに伝統工芸品の製作があります。

最近、大坂府堺市の大阪刑務所で、江戸時代から続く堺緞通を製作している受刑者がいるという記事を読みました。

緞通とは、手織りの厚手の絨毯のような織物です。

堺緞通は、鍋島緞通、赤穂緞通と並び、日本三大緞通の1つです。

大阪府の無形文化財でもある堺緞通がの技が受刑者によって受け継がれているのです。

とても良いことだと思います。

商業ベースに乗ってこないで、そのままでは、廃れてしまう技能を受刑者が受け継ぐというのは、よいアイデアだと思います。

受刑者の中には、自尊心や自己肯定感が低い人もいるので、伝統技術を継承するというのは、本人にとっても、出所してからプラスになるのではないかと思います。

受刑者の中には器用な人もいるので、伝統技術の継承にもつながります。

最近、受刑者と社会がどう共生していくのかということが、大きなテーマになっていて、刑罰でも応報ではなく、教育・矯正の役割がより大きくなってきています。

「小人閑居して不善をなす」と言います。

伝統工芸品の製作に集中することは、再犯率の高い受刑者を犯罪から遠ざけることにも役立つと思います。

高い技能を身に着けた受刑者は、刑務作業の指導員として採用するなどすれば、社会復帰が難しいといわれている受刑者の就職先の1つにもできるかもしれません。

このような試みが、これから様々な技術に広がっていくことに期待したいと思います。

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