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プレゼンス

中国(中華人民共和国)で、先の大戦の勝利から80年を祝うために、戦勝80年の記念行事が行われました。

軍事パレードも行われ、ロシア(ロシア連邦)のプーチン大統領、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩総書記が出席しています。

北朝鮮は、ロシアとウクライナの戦争で、わざわざ北朝鮮軍の兵士を派兵したこともあってか、ロシアのプーチン大統領と対等という扱いのようです。

社会主義国として一体と捉えられがちですが、微妙な力関係が見え隠れします。

これまで、中国は、隣国ということもあり、北朝鮮の核開発には歯止めをかける立場でした。

しかし、北朝鮮がロシアというもう1つのパートナーと接近してからは、中国と北朝鮮の間には、核の問題を契機として、隙間風が吹き始めたように見えたものの、中国にとっては、アメリカやアメリカと対立する国々との関係を考えると、協力は得られる関係にしておきたいという思惑があるのだと思います。

一方北朝鮮の金正恩総書記は、これまで多国の代表が出席する行事には、ほとんど参加していませんでした。

世界からの評価はともかく、他の多くの国の代表とは別格だと、自らの存在を神格化したかったからではないかと思います。

それでも、今回金総書記の6年ぶりの訪中ということになりました。

気になるのは、国際舞台で2つの大国と対等な扱いを受けているにもかかわらず、今回の訪中に際し、金正恩総書記に、北朝鮮の軍事関係者が同行していないことです。

これは、中国が招待したとはいえ、国際連合の安全保障理事会で、ロシアや北朝鮮には制裁決議がなされているからではないかといわれています。

実際、中国では、安保理の制裁決議が出されたときに、安保理の決議を遵守するように国内でお達しが出ていたようなのです。

関係改善や、記念式典のためとはいえ、国際社会に配慮し、北朝鮮の軍事関係者の参加は、遠慮してもらったということではないかということです。

軍事的な牽制の意味もあってのことだと思いますが、このところ中国は領土問題などで外国と揉めることはあっても、露骨に国際規範に違反するようなことは避ける傾向にあるようです。

それに対して、アメリカ(U.S.A)は、WHO(世界保健機関)、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)やパリ協定などの国際的な機関や取り決めから脱退しています。

世界秩序の創造者のような立場から、手を引き始めたとも言えますし、国際的な求心力を失い始めたともいえるのです。

国際舞台での存在感が低下しているアメリカに対し、中国は、国際社会において、アメリカにとって代わる存在となる道を模索しているようにも見えます。

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