東京都が、電柱を設置せず、電線を地中に埋設するため、電柱の新設を原則として禁止する条例の制定を目指していることを発表しました。
全国に無電柱化が実施されている地域はありますが、条例が制定されることになれば、全国で初となります。
東京都では、既に無電柱化に補助金を出していますが、あまり利用されていない状態です。
そこで条例により無電柱化を義務付ける方針のようです。
条例の制定のためにパブリックコメント(意見公募)を実施し、条例案の作成を進める予定です。
無電柱化により、災害時に電柱の倒壊や、送電線事故による二次被害などを防げる可能性はありますが、電線を地下に埋めれば、全て解決というわけにはいきません。
例えば、2016年に埼玉県の新座市で、地下に設置された送電設備で火災事故があり、東京都内で停電が発生したことを覚えていらっしゃる方もいるのではないかと思います。
災害に強い設備にしなければならないことに加え、災害がない場合の方が普通ですから、日常のメンテナンスがしやすいという条件をクリアしたうえで、美観を考慮すべきなのだと思います。
電柱というと頑丈なイメージが強いので、大地震でないと倒れない印象ですが、最近も竜巻などで折れた状態を目にすることがあったので、必ずしも電柱が倒れたり、折れたりするのは、地震だけではないのだということを再認識しました。
ただ、地中化には他にもメリットがあって、発電された電気のうちかなりの割合が送電される間に熱エネルギーなどで失われてしまっています。
そのため、特に寒い地域では地中化されることで、送電ロスが減る可能性があります。
電気代が上がっていますので、地中化するコストと送電ロスが減るメリットのどちらが上回るのかの検証も必要ではないかと思います。
仮に、地中化のコストが上回っても、これ以上の電気代の値上げにはつなげてほしくありません。
いずれにしても、八潮市の陥没事故のようなことは起こらないようにしなければなりません。