お酒に弱いことの例えでよく出てくる奈良漬けですが、お酒に弱い人が酔っぱらうと言われるのは酒粕に漬けているからです。
その酒かすにはアルコールが含まれているため、微生物が生きていけず、発酵食品ではないのではないかという見方もありました。
今回、奈良先端科学技術大学院大学の渡辺大輔准教授らのチームの研究により、フルクチラクトバチルスという乳酸菌が活動し、奈良漬けは乳酸発酵しているということが明らかになりました。
作る際に、酒粕を取り換えながら、漬け込んでいくという製造方法をとっていることも、アルコールに耐性を持った菌が残っていくことに役立っているようです。
時間と微生物の力を活かす製法は、奈良漬けだけではありません。
なぜその製法を思いついたのかと、不思議なぐらい、変わった作り方をする食品もあります。
多くに共通するのが、そのような製法により、より健康に良い成分ができたり、より美味しくなるということです。
奈良漬の場合も、うま味を増し、免疫の向上が期待できる成分が、製造過程で増えるということがわかっています。
今回の研究とは直接は関係ありませんが、漬物を食べるときのポリポリという音も、噛んだ時の歯ごたえから出てくる音なので、音や歯から伝わる刺激が脳の活性化にもつながるのではないかと思います。
それを考えると、サプリメントだけで栄養素をとるというのは、体全体を使って食べるという昔の人の食べ方に逆行しているように思えます。
我々の先祖は、サプリメントとして必要な成分も、食べた後の調子や味の変化から感じ取って、そのような栄養素を増やす製法も見つけてきたのだと思います。

