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裁判所は適当なのか?

事務所が上野にあるのでパンダの話題が多いですが、今日は別の動物の話を書いてみたいと思います。
同時に判例の勉強もしましょう。

動物が絡む有名な判例に「ムササビ・もま事件」「たぬき・ムジナ事件」というものがあります。
判例によく付けられている「~事件」という名前は裁判所が付けているわけではなく、判例が出た後、講学上、学問的な便宜のために付けられているものです。
どちらも、捕獲が禁止されている禁猟獣を捕まえてしまって刑事責任を問われた裁判です。
動物は地域によって呼び名が異なったりしますので、どちらの事件も、法律でムササビの捕獲を禁じているが、自分はもまという動物を捕まえているという認識しかなかった、法律でたぬきの捕獲を禁じているが、自分はムジナを捕まえているという認識しかなかったという事案で、場所も被疑者も別々の事件です。

結論から言うと「ムササビ・もま事件」は有罪、「たぬき・ムジナ事件」は無罪です。
ここで、判例に馴染みのない方は、似たような事件で正反対の結論とは、裁判所もいい加減だなと思うかもしれません。
ところが、この二つの判例は矛盾していません。
裁判所の判断基準はもまをムササビと思うことが一般的かどうか、ムジナをたぬきと思うことが一般的かどうか、という基準で判断されています。
つまり、もまを捕まえる認識があったのであれば、それはムササビを捕まえているという認識があったのだろうということで有罪になりました。
他方、ムジナを捕まえている人は、それがたぬきだとは思っていなかったのではないかということで無罪となりました。

裁判所は決して適当に判断しているわけではありません。

個人的には「同じ穴のムジナ」という言葉があったりしますので「たぬき・ムジナ事件」の無罪は微妙だなと思ったりしますが、どちらも古い判例であることや、地域性なども加味されて判断されたのだと思います。

以前蕎麦屋さんに入ったときムジナそばというのがあったので注文してみました。
私はこの判例を知っていたので、たぬきそばが出てくるのだと思ったら、たぬきそばときつねそばの中間バージョンのおそばでした。
天かすに油揚げを刻んだものが具として入っているおそばです。
老舗っぽいお蕎麦屋さんなら置いてあるかもしれません。
寒いので、ムジナそばでも食べてみてはどうでしょうか。

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