法学入門書の記事を書いたので、法律の勉強について何回かに分けて書いてみたいと思います。
法律を勉強したことがない人にとっては、法律の勉強ってどんな事するのと思う方もいらっしゃるかもしれません。
行政書士の中にも元々法律が専門ではないという先生もいらっしゃいます。
まして法律に関わる仕事でない方にとっては法律の勉強へのイメージが掴めないのも無理はありません。
社会に出て必要な分野の法律の入門書を読んでみるというのを勉強と感じる方もいるかも知れません。
これを英語の勉強に例えると、特定の場面に備えて個別の会話表現を学ぶというのに似ています。
また、皆さんの中にはある程度自分で法的な判断できるようになりたいと考える方もいらっしゃると思います。
これは英語の勉強でいうと場面にかかわらず自分で考えたことを話せるようになるというのに似ています。
このレベルの実力をつけるには語学でも大変ですが、法律の勉強では法律を体系的に学ばないといろいろな事例について自分で法的な判断をするというのは難しいです。
まずは法律に対するイメージを確認しておきましょう。
法律を勉強したことがない方の一般的な法律に対するイメージと実際を比較してみたいと思います。
イメージ
・法律家は条文をほとんど覚えている
実際
・法曹の中にはかなりイメージに近い方もいらっしゃいますが、実際はよく使う条文については使っているうちに覚えてしまうという感じでしょうか。
むしろ条文の文言以外にも覚えていることはたくさんあります。
使わない条文については忘れてしまうこともありますし、もともとあまり知らない法律もあります。
イメージ
・似た事案の結論を知っていれば、今回の事案の結論についてもわかる
実際
・事案が似ていると思っても、見るべきポイントがズレていると前例と同じ結論にならないこともめずらしくありません。
自分の知っている事案と似ているので同じ結論になるはずだと思っても法的には違っていたということは司法試験の受験生レベルになっても起こりうることです。
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・条文を知っていれば事案の結論がわかる
実際
・結論がわかる場合もありますが、どの条文が適用されるのか、適用されるとして条文に書かれている文言にあてはまるのかといったことで専門家でも意見が別れたりします。
実務上は裁判をしてみないと結論がわからないこともあります。
学問上はその裁判の判決に対して更に学説が批判することもあります。
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・人によって意見が違うのは科学的ではない
実際
・もともと自然科学とは異なります。ただし、論理的にはできているので、価値判断が決まればある程度科学的に結論が導かれます。
法律学が社会科学と言われる所以です。
法律に対する価値判断が解釈の範囲内に収まっていないと法律の解釈論ではなくなります。
イメージ
・すでにある法律を勉強するのは自由さがない
実際
・スポーツで言うと自由演技というよりは、規定演技で高得点を目指す感じでしょうか。
新しい法律やこれまで問題になっていなかった部分を解決するのに、自由な発想が求められることはあります。
ただし相当勉強していないと、ただの思いつきで終わります。
将棋でコマの動かし方や定石を知らないのに妙手を思いつこうとするようなものです。
なんとなくイメージは掴んでいただけたでしょうか。
今回はこの辺で。