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法定利率の改正について

民法が改正され新民法が施行されています。

これまでよりも大きな改正ですが全面改正ではありません。

債権法分野が特に大きく改正され一部民法総則の規定も改正されています。

改正点の一つが法定利率の改正です。

法定利率がこれまでの年利5%から年3%に変更されています。

法定利率というのは金銭の消費貸借契約の場合のように契約で年何%と取り決めていなかった場合に認められる法律上の利率をいいます。

契約はしたけれども契約の中に定めがない場合は勿論ですが典型的には契約自体が無い場合の適用が考えられます。

契約がない場合の債権の発生原因の一つに不法行為があります。

不法行為があった時のために利率を定めておくということは通常無いわけです。

ということは不法行為による損害賠償の場合などは利率の定めがない場合の一つということになります。

利率が下がるなら賠償を支払う加害者が得して、被害者が損しそうな感じがするかもしれません。

しかしそういうことでもないのです。

損害賠償の支払の場合分割払いが原則になるか例外になるかと言えば例外になります。

一括払いの方が原則なのです。

しかも損害賠償を受ける場合その損害を受けたことに関連して被害者に利得が生じた場合に賠償額と相殺されることがあります。

これを損益相殺といいます。

縁起でもありませんが、例えば交通事故によって被害者が死亡した場合、その後の生活費がからないので逸失利益から生活費でかかったであろう額が相殺されて実際に支払われる損害賠償額が決まってくるのです。

更に損害賠償が一括して支払われる場合、金利を得ることや資産運用が可能になるため、将来得られるはずであった分の金銭からは現在お金が手元に支払われることから生じる利得分を差し引くことになります。

現在の100万円と将来の100万円は価値が違うという考えに基づいています。

ただしインフレによる金銭価値の変動を考慮しているわけではありません。

この本来将来的に得るはずであったお金を現在得ることになることから生じる利得を差し引くのに法定利率を使ったライプニッツ係数というものが使われます。

この計算に使われる法定利率が変わるため賠償を受け取る被害者は有利になることになります。

再度確認すると分割払いによる加害者の支払う利息の利率が下がるという考えではなく、逸失利益等の損害額から差し引かれる額を計算することに使われる法定利率が下がることになるので最終的な受取額が増えることになるということです。

そしてこの改正による差額は計算年数(生存年数や後遺症の継続年数)が長ければ長いほど、損害賠償額が大きければ大きいほど、これまでと大きな金額の差となって現れます。

加害者側に回る可能性のあるドライバーさんなどはますます保険に入らないと大変なことになり、損害保険会社にとっては厳しい改正となります。

ただし、損害保険会社にとっては損害賠償の支払額が増えたとしても、保険料を支払う加入者も増えることになりそうなので行って来いの関係になるということでしょうか。

もともと損害保険には加入しているケースが多いので支払額が増えることの影響が大きい気もします。

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