福岡地方裁判所田川支部で今年2月に出された覚せい剤取締法違反の判決が福岡高等裁判所で破棄されました。
破棄された判決は懲役3年6ヶ月、このうち6ヶ月は2年間の保護観察つき執行猶予とする第一審の有罪判決です。
破棄の理由は法令適用の誤りです。
何が悪かったかというと一部執行猶予は3年以下の懲役又は禁錮の時に付すことができるものなのに、その範囲に収まっていなかったということです。
執行猶予はご存じの方も多いと思いますが、一部執行猶予は聞いたことがないという方もいらっしゃると思います。
それは無理もなく平成28年に施行された改正法に基づく制度なのです。
数年経っていますが、多くの人は犯罪は犯さないと思いますので、まだ馴染みがないと思います。
裁判所も慣れていなかったのかもしれないと言いたいところですが、薬物事犯は件数も多いため、すでに相当の件数が一部執行猶予の扱いになっているはずです。
油断していたと言わざるを得ません。
田川支部だけでなく、東京地方裁判所でも似たようなことが起こっています。
わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持の罪に問われた裁判で東京地方検察庁が法定刑を上回る求刑を行い、裁判所も法定刑を上回る判決を出してしまっています。
こちらは検察が判決を正すために控訴しています。
こちらも電磁的記録に関するものなので比較的新しい条文の適用がある犯罪です。
法改正がなされたところについてはプロでも間違えることがあるということです。
油断大敵と自らの戒めにもしたいと思います。