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訴えの提起先はクレイジーではない

埼玉県の戸田市で行われた戸田市議会議員選挙で一度当選したスーパークレイジー君こと西本誠氏の当選が無効となりました。

そのため西本氏は東京高等裁判所へ当選無効を認めた裁決の取り消しを求めて訴えを提起しました。

ここで訴訟手続にある程度詳しい人は、訴えの提起先がなぜ地方裁判所ではないのかという疑問や、あるいは高等裁判所なのだから訴えの提起ではなく控訴ではないのかといった疑問が湧くかもしれません。

これは手続きの根拠が民事訴訟法ではなく公職選挙法に定められていることにあります。

すなわち通常、民事訴訟法では第一審は地方裁判所、不服がある場合の上訴先として第二審が高等裁判所ということになっていますが、選挙に関する行政訴訟については公職選挙法で第一審が高等裁判所ということになっているのです。

経緯としては今回は地方議員、特に市議会議員の当選が争われた場合なので、まず西本氏の当選について「市」の選挙管理委員会に異議の申立がなされ、これについて当選を無効とする決定がなされています。

この決定に対し「県」の選挙管理委員会に西本氏側が審査を求めましたが、審査を棄却する裁決がなされています。(公職選挙法及び行政不服審査法に基づく「行政」に対する手続き)

これらの手続を経た後に更に不服がある者は裁判所に訴訟を提起できることになっています。(公職選挙法及び行政事件訴訟法並びに民事訴訟法に基づく「司法」手続き)

この訴訟の第一審が高等裁判所と定められているのです。(公職選挙法第207条第1項)

このような規定に基づき西本氏は東京高等裁判所に訴えを提起したのです。

一部のメディアで「上告」と表現しているものがありましたが、高等裁判所は通常の民事訴訟でも上訴手続きの中の控訴審となりますので、二重の意味で違っています。

多くのメディアは「高等裁判所へ提訴」と表現していますので、こちらは合っています。

いわゆる選挙訴訟では、この記事で出てきた公職選挙法の他に行政事件訴訟法と、更にこれらを補充する形で民事訴訟法も一部適用されます。

そのため通常の民事訴訟から見れば、管轄について例外的な取り扱いがなされることになります。

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