弁護士法人ベリーベスト法律事務所に東京弁護士会から懲戒処分が出て、ベリーベスト側は日本弁護士連合会に審査請求をしていることがわかりました。
ベリーベスト法律事務所は都内にある、テレビCMなども流していた大手の法律事務所です。
どのような事情なのかというと、弁護士は弁護士法第27条で弁護士でないのに法律事務を行う者から仕事の紹介を受けるなどのいわゆる「非弁提携」が禁止されています。
過払い金の請求業務について、この弁護士法に違反しているとして東京弁護士会から業務停止6ヶ月の懲戒処分が出されてしまったのです。
過払い金の請求については認定司法書士であれば、140万円以下の額なら簡易裁判所で取り扱える業務となります。
一概には言えませんが弁護士よりも司法書士の方が費用が安くなる傾向があるので、まずは司法書士事務所に業務を依頼するという人もいるのです。
しかし過払い金の業務は受任してみないと、具体的な請求額がいくらになるのかということがわからないことがあります。
司法書士事務所が受任したはよいが、資料を揃えて計算してみたら請求額が140万円を超えているということは起こり得るわけです。
この時点で、認定司法書士であっても取り扱える業務ではなくなるため、これ以降は通常弁護士案件となります。
この認定司法書士の業務範囲を超える過払い金の仕事をもらうために司法書士に謝礼を払って過払い金の業務を紹介してもらうとストレートに弁護士法に違反してしまいます。
そこでベリーベスト法律事務所では、140万円を超えるとわかるまでに司法書士事務所が業務として行った計算書類などの成果物を買い取るという形で業務を引き継ぎ、司法書士事務所から過払い金請求の仕事を引き継いでいたのです。
確かに支払われたのは途中まで行われた仕事の成果についての対価であって、仕事の紹介料ではないと形式的には言えそうです。
この辺法律のプロですからストレートに弁護士法に違反することはしなかったのだと思います。
しかし東京弁護士会は実質過払い金の請求業務の周旋に対する報酬だと認定し懲戒処分を下したのです。
これを不服としてベリーベスト法律事務所側は日本弁護士連合会に審査請求をしています。
この件でベリーベスト法律事務所に仕事を引き継がせていた司法書士法人については東京司法書士会から弁護士法違反の事実はないという判断がなされています。
弁護士会と司法書士会で判断が分かれているように微妙な案件です。
もともと懲戒処分のあり方や弁護士会の体質については議論があったため、この処分をきっかけに相当揉めそうな気がします。