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2乗でなくても大人の事情

昨年、2021年に行われた衆議院議員選挙の1票の格差に関する訴訟の判決が出揃ったのでお伝えします。

このブログでも一部は個別に記事にしていました。

1票の格差とは同一の選挙において、ある選挙区の有権者数に対して、その選挙区で選出される議員の数が異なるため、有権者が投じる投票価値に差が生じることを言います。

一部地域では複数の訴訟が提起されている所もあります。

合憲と判断したのは

仙台高等裁判所、東京高等裁判所の計2件、名古屋高等裁判所金沢支部、広島高等裁判所の計2件、広島高等裁判所岡山支部、広島高等裁判所松江支部、福岡高等裁判所宮崎支部

です。

違憲状態と判断したのは

札幌高等裁判所、仙台高等裁判所秋田支部、名古屋高等裁判所、大阪高等裁判所、高松高等裁判所、福岡高等裁判所、福岡高等裁判所那覇支部

です。

数からいうと合憲の方が多いのですが、ほぼ同じぐらいと言ってよいのではないかと思います。

1票の格差を巡っては近年、2倍から3倍ぐらいでも違憲状態という判決が続いていて、より数字に忠実な判断がなされるようになってきています。

それに伴い選挙区についても格差が少なくなるような変更がなされてきていますが、まだ格差は生じています。

仙台高等裁判所や福岡高等裁判所では管轄地域によって判断が分かれる所もあります。

違憲状態という判断がなされた裁判でも、選挙自体を無効とすることは社会的な影響が大きすぎるため違憲状態という判断に留め、選挙自体は無効とはされていません。

このような判決が事情判決と表現されることがありますが、厳密に言うと事情判決ではありません。

事情判決という手法は行政事件訴訟法第31条に規定がありますが、公職選挙法は行政事件訴訟法第31条を準用していません。

そのため選挙訴訟では事情判決という手法は用いることができません。

では何なのかというと、選挙訴訟で違憲(状態)と判断されても選挙が有効とされるのは事情判決の法理が用いられているというのが正確な表現になります。

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