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一抜けられるか

前回、共犯の続きについて書くことを予告しました。

共犯の成立について、更に詳しく書こうというわけではありません。

給付金詐欺のような怪しげな誘いの場合、一旦乗ったけれども、やっぱりや止めようなどと考えることもあるかもしれません。

また当初聞いていた話と違うので、途中から共犯から抜けたいと思うこともあるかもしれません。

そこで共犯から抜けるにはどうすればよいのかということについて書きたいと思います。

刑法の理論上は「共犯(関係)からの離脱」として議論されている話題です。

共犯から抜けるのにどうすればよいかというより、「止めた」と言って抜ければよいではないか、というのが一般の方の感覚ではないでしょうか。

ところが一旦共犯に加わってしまうと、関与の仕方にもよるのですが、簡単には抜けられないのです。

共犯をどのようなものとして捉えるかにもよるのですが、現在主流と言ってよい考え方では共犯は正犯に対して物理的、心理的因果性を及ぼしているから罰せられるのだと考えます。

文字どおり物理的、精神的に強い影響力を及ぼしているからということです。

これを逆に考えると共犯関係を解消するには、物理的、心理的因果性を消すことが必要ということになります。

「止めた」と言っても、止めた後に因果関係を及ぼすことはなくなるかもしれませんが、それまで行ったことが消えるわけではありません。

現場を離れても同様です。

そのため余程関与の度合いが低いのでなければ、「止めた」と言っても、共犯から抜けたことにはならないのです。

一般の方の感覚だと「止めた」と言って現場を離れれば、もう犯罪にはならないような気がすると思いますが、一旦共犯に加わったら、簡単には抜けられないのです。

抜けられないなら1つ盗るも、2つ盗るも一緒だとなったら、犯罪者心理そのものです。

抜けることを考えましょう。

では、どうすればよいかというと、これは先程書いたとおり、それまでの犯罪への関与の度合いにより、取るべき方法も変わってきます。

強く関わっているなら、物理的、心理的因果性も強いということなので、解消する手段もより強力なものが必要とされます。

具体的には、他の共犯者の犯行を止めさせなければ、共犯から抜けたことにならないということもあるのです。

一抜けるのに十に近いことをしなければならない場合もあるということです。

ちょっと関わって、その後何もしていないから大丈夫などということはないのです。

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