以前このブログの「地元もNOと言っている」という記事で、年内にも決定を出すという連絡を受けたと代理人弁護士が公表していた申立ての決定が出ました。
美浜原発3号機の運転差し止めを求めた申立について、大阪地方裁判所で、却下決定が出ました。
住民側は地下の断層がズレる危険性や、設備の老朽化を指摘していました。
これに加え、自治体が定めた避難ルートの危険性など避難計画の不備も指摘していました。
これに対して大阪地方裁判所は、原子力規制委員会が、原則40年の運転期間に対して例外的に最長20年の運転延長を認める際の新基準以上に安全性を慎重に判断しなければならない理由は認められないと判断しました。
避難計画についても、複数の原発で同時多発的に安全機能を失う恐れは想定し難いとしています。
要は、美浜原発3号機の運転延長について安全性に問題はないと判断したことになります。
従来から裁判所は、専門的・技術的判断については避ける傾向にあります。
ところが、今回は安全だと判断しています。
これは、国の原子力政策として既存の原子力発電所を最大限に活用するため、運転の延長という制度が作られ、そのための基準もできたので、その基準をクリアしていれば安全だという国の政策を尊重し、その基準を満たしている電力会社の営業も認めるという判断なのだと思います。
しかし、そもそも建設時の耐用年数を超えて運転すること自体に危険がないのか慎重な判断が必要なのではないかと思います。
個別の基準を満たしていれば、本当に安全と言えるのか、改めて検討の余地もありそうです。
そのために一旦運転を差し止めて検討するという選択肢もあるように思いますが、認められませんでした。
運転を差し止めると電力会社には損失が生じますが、事故が起こった場合も損害賠償として金銭の出捐は必要になります。
であれば、事故が起こらないかもしれないので運転させ、事が起これば賠償させればよいというムードが出来上がりつつあるように感じます。
福島県の原発事故を見ても、事が起こってから金銭賠償ということで片付けられる問題なのか、改めて考えてみる必要がありそうです。