現在アメリカ(U.S.A)国籍で(元は日本国籍)、アリゾナ州弁護士資格を有する福岡県在住の女性が、日本国籍を有することの確認を求めた訴えの判決が、福岡地方裁判所でありました。
外国籍を取得すると日本国籍を失うという国籍法の規定は違憲であり、日本国籍を有することの確認を求めたものです。
結論から言うと、原告の訴えは棄却されました。
つまり国籍法の規定は合憲で、女性は日本国籍を失っているということになります。
国籍法第11条第1項は「日本国民は、自己の志望によって外国籍を取得したときは、日本国籍を失う」ことを規定しています。
女性は2004年にアメリカ国籍を取得しました。
この規定に基づき、日本国籍を失ったことになります。
女性は、この国籍法の規定は違憲だということも争いましたが、福岡地方裁判所は、国籍法の規定は、外国籍取得の際に、日本国籍と外国籍を選択する機会を与えているとして、同法の目的や手段は合理的で、自己決定権を保障した憲法第13条に違反しないと判断しました。
女性は、アメリカの弁護士として、アメリカで活動していましたが、政治参加などをするという動機からアメリカ国籍を取得しています。
どちらの国でも、その国の国民として暮らしたいという気持ちはわかるのですが、主権に関わる問題でもあるので、どこか1つの国の国籍を選択せざるを得ないというのは立法政策としてあり得る手段だと思います。
重国籍を認める国もありますが、日本は二重国籍も認めないという方針で現状が維持されています。
現状を変えたい人は、このような訴訟をせざるを得ないでしょう。
変える気がないのなら、慎重に国籍を選択する他ありません。