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グラデーションがあっても良いのでは

SNSへの投稿をめぐり、弾劾裁判にかけられていた仙台高等裁判所、岡口基一判事への判決がありました。

結論として、罷免という判決が出されました。

弾劾裁判所は、裁判官を罷免するかどうかの手続きですから通常の司法の系統からは外れます。

国会議員によって構成される弾劾裁判所によって判断されるのです。

今回、弾劾裁判所は、裁判官が罷免される自由の1つである「著しい非行」とは、「憲法の番人としての重い役割を与えられた裁判官が『国民の信託』に反した場合」をいうという基準を示しました。

「著しい」や「非行」という解釈の幅が広い言葉を「国民の信託に反した場合」と言い換えていますが、抽象度が高い憲法に出てくる言葉を使ってしまったために、言い換えたところで、あまり具体的にはなっていません。

女子高生殺害事件を巡る投稿については、民事裁判で不法行為と認定されていることを受け、今回の裁判でも「著しい非行」と認定されました。

犬の所有権を巡る事件についての投稿も一部「著しい非行」と判断されています。

判断枠組みを確認しておくと、裁判官も一国民として表現の自由があることが前提になります。

そのうえで裁判官も国家権力を行使する1つの機関ですから、国民との関係で、一般国民とは異なる人権の制約を受けることになります。

著しい非行を行ったということを根拠に国民としての表現の自由を制約し、罷免事由があるとして裁判官という身分を剥奪したのです。

結果的に職業選択の自由も制約されることになります。

これにより、法曹資格が剥奪されます。

不服申立て手続きはないため、裁判官の身分を失うだけでなく、弁護士などの法曹としても活動できなくなります。

ただし、5年経過など一定の要件が揃えば、資格回復の裁判を受けることができます。

今回の裁判で思うことは、弾劾裁判は、裁判官の身分を保障するための手続きでもあるので、不服申立て手続きがあってもよいのではないかということと、裁判官としての不適格が法曹全ての不適格とイコールではないと思うので、資格剥奪について段階的な定めがあっても良いのではないかと思います。

あまりに、ざっくりしているのに裁判官の身分保障と言っても説得力がないからです。

現に、弁護士673人から回答を得たアンケートの約70%近くが、今回の罷免判決について「妥当ではない」と回答しています。

理由としては「行為と責任(罷免)とのバランスが取れていない」という意見がありました。

裁判官と言えども、国民の権利を侵害してはいけませんが、司法権の独立や裁判官の身分保障が危ういというのも現実のようです。

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