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裁判してもらえるという裁判

沖縄県にあるアメリカ(U.S.A)の普天間飛行場を名護市の辺野古に移設することをめぐり、沖縄県が海の埋め立ての承認を撤回したことに対して、国土交通大臣が、沖縄県の承認撤回処分を取り消したことは違法だとして名護市の住民が訴訟を提起していました。

那覇地方裁判所は、原告らの居住地は埋め立て区域と距離があり、米軍機による騒音などの被害を直接受けるおそれがないとして原告適格を認めず、訴えを却下していました。

つまり実体審理に入らず、門前払いにしていたのです。

これに対して住民側が控訴していた裁判の判決が、福岡高等裁判所那覇支部でありました。

結論としては、福岡高裁は原告らの原告適格を認め、審理を差し戻しました。

門前払いという不服部分について、原告側が勝訴したことになります。

つまり、地方裁判所で実体審理が行われることになったということです。

理由として三浦隆志裁判長は、埋め立て事業による騒音や振動、航空機の衝突や墜落が想定される地域に居住し、被害を直接受ける恐れがあるとしています。

根拠として健康や生活環境の被害を防止することを目的とする公有水面埋立法や航空法により原告適格が認められるとしています。

航空機の衝突や墜落というのは随分極端にも聞こえますが、沖縄県では実際に戦闘機やヘリコプター、最近でもオスプレイの墜落などが起きているため、抽象的な心配とは言えません。

事は、アメリカとの外交問題とも関連し、日本の防衛にも関わる問題なので、政治的な判断として裁判所が審理を控えがちな分野であるとも言えます。

このような問題ではありますが、住民の健康や生活環境という利益に対する被害の蓋然性を、地域性や客観的な危険に基づいて、今回原告適格を認めたことは、極めてまっとうな判断だと思います。

辺野古への飛行場移設を巡っては、他にも多数訴訟が提起されています。

埋め立て承認撤回の取り消しをされたのは、沖縄県ですが、これにより飛行場ができることにより米軍機による被害を受けるとして訴えているのは住民というのが今回の訴訟です。

県と国の対立に基づく訴訟と混同しやすいので、その裁判とは別の訴訟であるとご承知おきください。

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