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法律制定当時からの違憲は異例

旧優生保護法の下で不妊施術を強制したことが憲法に反するとして国家賠償を求めた裁判で、国の賠償を認める判決が最高裁判所でありました。

ハンセン病など一部の病気にかかった患者が、旧優生保護法に基づき強制的に不妊手術を実施されていたことに対して国家賠償を求めていたのです。

日本では違憲の判断がなされること自体が珍しいです。

これは三権分立という統治機構の構造からも、立法権に対して司法権である裁判所が口を出しにくいという事情もありますが、人権制約にかかわる問題である限り、裁判所は違憲立法審査権を行使すべき問題でもあるため違憲判断がなされても不思議ではありません。

それでも、違憲となる法律が少ないのは、法案が国会で審議されるだけでなく、法案として提出される前に、内閣の法制局で厳しくチェックされているからでもあります。

もともと違憲となるような法律なら法案として国会に提出されていないのです。

このような事情もあり、日本では違憲となるのであれば、それはもともと違憲というより、その法律を支える制定時の立法事実が変化したらからというのが相場です。

法律制定時はその法律を支える立法事実が存在し、合憲であったけれども、社会が変化し、立法事実も移り変わったので、現在は違憲であるという判断が多いのです。

例えば、以前民法の相続編に非嫡出子の相続分が、嫡出子の相続分の2分の1であるという規定がありました。

法律制定時は、家制度を守る必要から長子相続及び嫡子相続がなされ、法律婚を保護する必要性もあったため、合理性がある制度とされていましたが、現在は法律婚を保護する必要があるにしても、親の婚姻の有無によって子供が法的に差別を受ける時代じゃないよねということで違憲とされた例にみられる判断手法です。

しかし、今回の旧優生保護法については、最高裁判所が立法当時から違憲という判断をしました。

異例中の異例です。

裁判所の矜持が伺えると同時に、病気に対する理解が今とは異なるとしても、それだけ強度の人権侵害だったということができます。

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