無免許運転で交通事故を起こした男性に対して、警察に嘘の供述をするよう指示したとして犯人隠避教唆の疑いで、当時弁護士だった男性に、懲役2年執行猶予5年の有罪判決が出て、有罪が確定していました。
犯罪を犯せば弁護士会から懲戒処分を受けることがあり、弁護士として活動できなくなります。
この男性も弁護士を辞めることになっていました。
ただ、捜査の過程で、この元弁護士の男性は21日間で56時間の取り調べを受けていました。
その間、黙秘権を行使し、供述を拒否していました。
これに対して検察官が「あなたの言ってる黙秘権って何なんですか、全然理解できない」、「ガキだよね」「うっとうしいだけ」などと発言していました。
これに対して元弁護士の男性が、侮辱的な取り調べを受けたとして国家賠償の請求をしていた裁判の判決が東京地方裁判所でありました。
東京地方裁判所は、検察官が社会通念上相当な範囲を超えて人格権を侵害したと認定し、国に慰謝料など110万円の賠償を命じました。
黙秘権の保障の趣旨にも反するとしています。
このようなことが起きるため、現在取り調べの様子が録画されるようになっています。
私も取り調べの映像を見ましたが、暴言といってもよい内容です。
本来、このような取り調べによって、無理な自白を取らないように認められているのが黙秘権です。
決して犯罪者に逃げ道を与える趣旨のものではありません。
短期的な供述を取りたいがために、長期的には自らの取り調べの手段を制限するような行動に出てしまっています。
このようなことは検察官になるための法曹資格を得るために司法試験を受けている段階で勉強しているはずなのです。
しかも、相手は当時弁護士ですから、同じようにどういう趣旨で黙秘権が認められているかわかっていることも、この検察官は知っているはずなのです。
結局、相手が正当な権利を行使しているので、自らの取り調べの限界を感じ、強引な手法に出ざるを得なかったのだと思います。
私も黙秘権なんて認める必要があるのかと思っていた時期もあるのですが、録画されていることがわかっていても、このような取り調べを止めることができない現実を見ると、やはり黙秘権は必要なんだと思わざるを得ません。
最近、検察絡みでの不祥事が多過ぎるように感じます。