教職員による生徒への性加害が明るみに出ることが増えています。
そういった事件の1つである横浜市で起きた児童へのわいせつ事件の公判で、横浜市の教育委員会が、職員を多数動員して傍聴させていたことが問題視されていました。
外部弁護士による検証が行われ、検証結果の報告書で職員の動員は、憲法が定めた裁判の公開の原則(憲法第82条)に反して、違法で許されないとしました。
横浜市教育委員会の職員が傍聴に動員されたのは、被告人となった教員の4つの事件についての裁判です。
裁判は公開法廷で行われるのが原則となっています。(憲法第82条)
そのため、職員を動員して傍聴席を埋めることは、他の人が傍聴できなくなるため、裁判の公開を定めた法の趣旨を没却することになるのです。
横浜市教育委員会は、被害者側からの要請があったためとしていますが、報告書では1つの事件については横浜市教育委員会の主張を認め、他の3つの事件では被害者側の意向が十分に確認されたとは言えないとしています。
横浜市教育委員会の言い分では被害者側の児童のプライバシーを守るためというのが、職員を動員した理由のようですが、これら4つの事件では、被害者および被告人の氏名はすべて非公開とされています。
現在刑事裁判では、このような事件での被害者保護のために身元を特定されないように、氏名を伏せることが可能になっています。
これらの事件でも、氏名は伏せられていたのに、職員を動員して傍聴席を埋めたことは、本当に生徒のためだったのかという疑問が出てきてしまいます。
しかし、この点について弁護士による報告書では、横浜市教育委員会が、公判後に職員を動員した効果を検証していなかったことなどから、隠ぺいが目的ではなかったと結論付けています。
仮にそうだとしても、このような行動をとったことで、かえって注目されてしまったではないかという気がします。