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根拠も動機も異なる

鹿児島県警で捜査情報を漏洩したとして、地方公務員法違反の疑いで起訴された元巡査長に対する判決が、鹿児島地方裁判所でありました。

裁判所は、個人の犯罪歴を含め、100件以上の事件関係者の情報を漏らしプライバシー侵害の程度は高いとして、懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡しました。

この件については、単に捜査情報を漏洩させたものですので有罪になるのは当然です。

第三者の犯罪経歴や事件処理簿の一覧表などを渡していたため、完全にアウトです。

これと似た事件が、同じ鹿児島県警での元生活安全部長による内部告発です。

こちらは、外部の記者に内部の情報を漏洩したため、国家公務員法に問われる可能性もありますが、内部の不正を告発するものであるため違法性が相対的に低いと評価される可能性もあります。

いずれにしても事件関係者のプライバシーには配慮しなければなりません。

今回有罪になった巡査長と現在裁判が進んでいる元生活安全部長とで罪責の根拠となる法令が異なっていますが、これは警察官としての階級の違いによるものです。

巡査長は地方警備員という括りになり、身分は地方公務員となります。

警視以下は地方公務員ということです。

元生活安全部長は、採用時は同じく地方警備員として地方公務員でしたが、退職時は警視長だったので、警視正以上になった時点で特定地方警務官となり、国家公務員である地方警務官と同じ扱いになります。

つまり国家公務員ということです。

そのため、同じ在職時の情報漏洩でも、元生活安全部長の方は、国家公務員法違反の嫌疑になるのです。

この元生活安全部長はノンキャリアの地方公務員として出発し、国家公務員の立場になるまで出世していたことになります。

それだけに、内部の不正を苦々しく感じていたのかもしれません。

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