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理解に苦しむ賛成派の理由

原子力発電について反対派の学者の意見を取り挙げることが多いので、賛成派の学者の意見も取り挙げることにします。

現在政府は、岸田内閣の時に、原子力発電を、補助的な活用から、積極的に活用するように方針転換しています。

ところが、運用の難しさや、安全対策にかかる費用そして事故時の賠償リスクなどから、当の電力会社自身が新たな原発の建て替えに腰が引けている状態です。

これに対して、早期の原発の建て替えを提言する学者がいます。

早稲田大学の遠藤典子教授です。

理由は主に、エネルギー安全保障上の理由と、それがひいては、経済安全保障にもかかわるというのが理由のようです。

まず、エネルギー安全保障として、太陽光発電や風力発電では単体で十分ではなく、自然に左右されるため、火力発電によるバックアップや蓄電池が必要だと主張しています。

火力発電では脱炭素にならないし、蓄電池を作るには、中国産のレアアースやレアメタルが必要になるので、エネルギー安全保障上問題があるということのようです。

更に、太陽光発電や風力発電の基幹部品自体が中国製のものが多いということを挙げています。

しかし、レアアースやレアメタルに依存しない電池の開発は現在も進んでいて、これまでの技術を前提にエネルギー安全保障を語るのは、あまりに短絡的です。

仮に、レアアースやレアメタルが、自然エネルギーのネックになるのであれば、原発による安価といわれる電力を使用して経済活動を行う日本のメーカーの生産活動でもネックになるではないかと思ってしまいます。

太陽光や風力発電の基幹部品が中国製が多いというのも、原発への依存を高めるからという側面もあって、太陽光や風力発電などの自然エネルギーの割合を増やし、安定供給するための電池の開発に力を入れると政府が言えば、国内供給することも可能になっていくはずです。

さらに、原子力発電で安価な電力が供給されなければ、経済競争に勝てないかのような発言をしていますが、正に産業界の要請によって、安く電力を供給するために、原子力発電を積極活用するだけで、クリーンなエネルギーであるからでも何でもないということを、自ら述べてしまっているのと同じです。

以前からいうように、原子力発電がローコストでないことは、アメリカ(U.S.A)でも常識で、日本の電力会社も自らの投資に不安があるので、原子力発電にかかるコストを、電気料金に上乗せすることを考えています。

そうなれば、結局安価といわれる電気料金も、更に上がることになります。

原発によって得られる目の前の経済的な利益が、原発にかかるコストやリスクを上回ると考えているようですが、近視眼的な損得勘定で環境や安全性への評価が甘いために、影響の大きさが見えていないだけなのではないかと感じざるを得ません。

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