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「この規定が必要だね」と君が言ったから、5月3日は憲法記念日

現行の日本国憲法が施行された日なので、今日5月3日は、憲法記念日です。

そこで、憲法について少し書きたいと思います。

現行の憲法については、アメリカ(U.S.A)の押しつけ憲法なので改正すべきという議論があります。

押しつけかどうかについて書きたいと思います。

改正憲法の制定が懸案事項となっていた当時、時の国務大臣松本烝治が憲法草案の作成を進めていました。

松本草案には、天皇が統治権を総攬するなど、大日本帝国憲法とあまり変わらない、いわゆる松本四原則が定められていました。

この内容が毎日新聞にスクープされると、これを知ったGHQのマッカーサーは、マッカーサー三原則に基づく草案の作成を民政局に命じました。

このマッカーサー草案を受け入れる形で制定されたのが現行の日本国憲法です。

日本が戦争に突入した経緯からも、ポツダム宣言において既に、日本の民主化や自由主義化を進める必要性が定められていたため、憲法改正は避けられない問題だったといってよいと思います。

こうした経緯や、もとになっているのがマッカーサー草案であるため押しつけ憲法という評価があるわけです。

しかし、現在アメリカ政府に日本の憲法を作らせたら現行憲法のようになるかというと、それは違う気がします。

特にトランプ大統領は、日本の国防についてアメリカの負担が大きく、アメリカが日本を守っても、日本はアメリカを守らないという趣旨のことを述べています。

現在のアメリカ政府が、日本国憲法に、戦力の不保持を定めるかというと非常に怪しいわけです。

アメリカ人が草案を作成したので、アメリカ合衆国憲法も参考にしています。

議院内閣制こそそのまま(ただし、天皇が統治権を総攬している下での内閣と現行憲法の内閣では大きく性格が異なります)ですが、裁判所の違憲審査権は、アメリカの裁判所でも行使されているものの、アメリカ合衆国憲法に規定されているわけではありません。

あえて日本の憲法には明記したわけです。

男女の平等についても、キャリア官僚でもないベアテ・シロタ・ゴードンという女性が、民政局で働いていたため、ベロテ・シロタさんの進言で設けられたといってもよい規定です。

ベアテ・シロタさんのお父さんは、今もめているウクライナのキーウ出身のユダヤ人でバイオリニストでした。

ユダヤ人への迫害を恐れて、「赤とんぼ」で有名な山田耕作の招聘を受けて来日し、東京音楽学校(現:東京芸術大学)の教授に就任しました。

そのため、ベアテ・シロタさんは、幼少期を日本で過ごしたため、日本の事情が分かる人間として、GHQの民政局の職員として再来日していたわけです。

このような、偶然とも思える事情を考えると、日本国民の意思を強く反映した憲法とは言いにくい反面、現在のアメリカ政府の意向とも言えない内容になっていることを考えると、押しつけ憲法という評価は当てはまらない気がします。

問題があるとすれば、独立国として戦力の不保持を定めた規定をどうするのかという問題と、国防以外の問題でも問題があるとして憲法を改正するには、憲法改正の手続きが厳格すぎることでしょうか。

自衛隊が軍事力ではないという、外国人には理解しがたい解釈改憲に近い状態を生み出してしまっている現行憲法ですが、制定からの時間の経過を考えれば、かなり射程の長い内容が制定できているといってよいのではないかと思います。

ただし、問題点があることも確かなため、まずは「憲法改正の手続き」を現実的な内容に改正するというのも1つの方法だと思います。

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