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翻案と翻訳

漫画のあらすじを要約してサイトに掲載したとして、サイト運営者が著作権法違反の疑いで逮捕されました。

漫画そのものを掲載したり、漫画の一部を掲載したりするサイトを作るのなら手っ取り早いのですが、要約というのはずいぶん手がこんでいます。

被疑者は文字で起こしたものなら違反にならないと思ったと供述しているようです。

しかし著作権には、様々な権利が含まれます。

今回の場合は翻案権の侵害ということになります。

翻案権とは著作物を元に、別の著作物を創作する権利をいいます。

言い方を換えると二次著作物を作成する権利です。

著作権にはこの二次著作物の利用をコントロールする権利まで含まれます。

外国語に翻訳する場合は翻訳権も含まれます。

翻訳権と翻案権の境界は曖昧です。

翻訳しようと思ったら、翻訳者の考えを基に原文にない表現を足してしまった、あるいは翻訳スキルが足らずに別の内容になってしまったという場合、度を越していればそれは翻訳ではなく別の著作物を作り出しているということになってしまうからです。

どちらも著作者の同意がなければ違法になりますが、翻訳権は得ていたのに、翻訳する技術が低いために、翻案権を侵害しているなどという状況にならないように注意しましょう。

英文和訳で、訳を間違えたというのとは問題の大きさが異なります。

学生時代英語が得意だったという理由で安易に翻訳をするのは危険なのです。

チャレンジしなければ、いつまで経っても上達はしませんが、単なるミスは謝れば済むと思って安易に足を踏み入れるものでもないのです。

翻訳は原文とは別の新たな著作物にしないだけの力量が必要とされる専門職なのだと心得ましょう。

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