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基本の賃貸借契約

賃貸借契約に入ります。

賃貸借のシンプルな関係についての規定について解説します。

まず、賃貸借の存続期間は最長で20年とされていました。

これが最長で50年に延長されています。(民法604条第1項)

50年を超える期間を定めた場合は全部無効ではなく、超える部分だけが無効となります。

借地借家法では50年を超える賃貸借も可能です。

旧法で勉強された方は改正内容を押さえておきましょう。

次に修繕義務ですが、原則として賃貸人に修繕義務があることは改正前と同じですが、例外として修繕義務の負担について特約がある場合と賃借人に帰責事由がある場合は、賃貸人は修繕義務を負いません。(民法第606条第1項但書)

この規定の本文は、賃貸人の義務を規定するとともに、賃貸人が、目的物を保存する権利を有することを意味しています。

これとの関係で、賃借人が賃貸人の承諾なしに、修繕できるかという問題がありました。

民法608条第1項が賃借人の費用償還請求権を認めていることから、どのような場合に修繕できるかという疑義がありました。

そのため改正法では、

1賃借人が、賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにも関わらず相当の期間内に必要な修繕をしないとき

2急迫の事情があるとき

の2つの場合について、賃借人が修繕できることを明記しました。(民法第607条の2第1号)

賃借権は債権であるけれども、対抗力を備えれば、物権を取得した者その他の第三者に対抗することができることになります。(民法第605条)

敷金については、従来の判例同様、目的物の返還を受けたときに、法定の額を控除した額(全額もありうる)を返還すると規定されました。(民法第622条の2第1項第1号)

これにより、元々できないことではあったのですが、賃貸借契約終了前に敷金を返還請求できないことが明確になりました。

このことから賃料について不払いがある場合、賃借人側から敷金による充当を請求することも当然に認められないことになります。

なぜなら、賃借人からの敷金による充当の請求を認めれば、目的物返還後に請求できる敷金について先履行を認め、相殺しているのと同じになるからです。

しかし、民法第622条の2第2項後段では、あえて確認的に規定されています。

目的物が滅失した場合、旧法下で判例は当然に賃貸借契約が終了するとしていました。

新法では履行不能の場合無催告解除できるので、解除ということになりそうですが、判例を条文化し例外的に当然に賃貸借契約が終了することとされました。(民法第616条の2)

つまり解除のように意思表示すら必要ないことになります。

一部不能の場合は、旧法では賃料減額請求が認められていましたが、新法では請求するまでもなく、一部使用できない場合だけでなく、一部滅失の場合も含め、当然に賃料が減額されることになりました。(民法第611条第1項)

更に、残存する部分だけでは、契約目的が達成できない場合は契約を解除できます。(民法611条第2項)

一時的に使用不能な場合で修繕できる場合は、先に書いた要件を満たす場合に賃借人が自ら修繕することもできますし、契約を解除することもできることになります。

ただし、この場合は、民法第611条第2項の規定によるのではなく、民法第541条又は民法第542条という解除の一般的な規定によって解除することになります。

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