法務省のプロジェクトチームが外国人技能実習生の失踪や死亡事案についての調査を行っていました。
その結果2017年から2019年にかけて入国管理局に摘発された技能実習生5218人のうち少なくとも721人について実習先の不正な行為があったことが報告されました。
最低賃金法違反や不適正な残業時間で働かせていたなどです。
この調査については「制度運用が不十分だった点を真摯に反省する」として運用サイドの法務省が運用の不備を認めています。
そのうえで改善に向けた対策も打ち出しています。
例えば賃金の支払いについては金額が確認できるように口座振込とするようにしたり失踪原因があった実習先は一定期間受け入れの停止をするなどです。
この問題については技能実習制度の監督機関である法務省だけでなく労働問題の監督機関である厚生労働省の問題でもあります。
労働法違反について労働基準監督署が把握できていない事案が多かったのです。
もちろん受け入れ先がこんな労働法違反をしていますと報告するわけはないのですが、そういった企業の不正を取り締まる側の責任というものも生じてしまいます。
技能実習生に対する聞き取り調査の方法や聞き取り項目の見直しなども改善策の一つになっていますが野党の実施したこれまでの聞き取り調査結果の分析によれば約67%が最低賃金割れだったという分析結果もあります。
外国人技能実習生を適正に受け入れている受け入れ先は存在しますが、これらの結果から外国人の技能実習制度がかなりの割合で外国人のための実習制度というよりは日本企業が安く人を使うための制度として利用されていたのが実態であったと言えそうです。