約束手形について政府は2026年を目処に廃止する方向で検討を進めていることがわかりました。
約束手形は支払われるまでに他の決済手段に比べ時間がかかることなどを理由に他の決済手段が選ばれることが多くなっています。
インターネットバンキングなどによる決済も普及してきたため約束手形を廃止する方向で検討しているようです。
全国銀行協会の試算によれば約束手形を利用する場合、電子化された場合に比べ1114億円もコストがかかるそうです。
このようなこともあり利用している側からも、利用をやめたいという意見が圧倒的多数を占めています。
ただ約束手形は決済手段としてだけではなく、「約束」を守ってもらうための担保的な役割を果たしてきた部分もあります。
約束手形が「約束」と呼ばれるのは支払いを約束するからですが、実社会では決済手段の他に何らかの約束を守ってもらうために予め一定金額を記載した約束手形を振り出してもらい、約束が守られたら振出人に戻し、守らなければ支払呈示に回すという担保的な機能も営んできました。
そのため決済手段としては振り込みなどに代えることができても、担保的な機能は別の方法を考えなくてはなりません。
ただこの辺も他に色々と手段はあるので約束手形自体は廃れてゆくことになると思います。
他にも信用供与の手段としても利用されてきましたが、こちらも他の手段で間に合うでしょう。
約束手形ものそのものは廃止されても、機能そのものは代わりのものが同じ機能を果たすことがなるので、これまで手形法を勉強した人にとって全てが無駄になるとは思いません。
為替手形中心の手形小切手法に改正されていくことになるのではないでしょうか。
為替手形も含めてすべての決済から手形をなくしてしまうという考えもあるかと思いますが、約束手形とは仕組みそのものが異なることや国際的な決済手段としても機能しているため、1国だけの都合ですべてを廃止するというわけには行かないと思います。
実際のお金の流れに関わってきますので、法律だけでなく簿記や会計にも影響してくる問題です。