日産自動車の元会長カルロス・ゴーン氏がレバノンに逃亡した件で、東京地検特捜部は米国側から海外への逃亡を助けた容疑者の身柄の引き渡しを受けました。

犯罪人引渡条約に基づき2名の容疑者の引き渡しを受けたものです。

まず条約の名前が「犯罪人」となっていますが、実際には取り調べてみないと犯罪人かどうかはわからないため、被疑者ないし容疑者の引き渡しを求めるこというのが実際のところです。

世界的に見れば犯罪人引渡条約自体が発効している国は多数あります。

ただ日本と犯罪人引渡条約を締結している国は現在アメリカ合衆国(U.S.A)と大韓民国(韓国)だけとなります。

これは日本に死刑制度があることと関係があります。

自国の手続きによらないにもかかわらず、引き渡せば最悪死刑になる可能性があるからです。

日本は犯した罪に対する刑罰は法定されていますし、量刑の相場もある程度わかりますので、実際に死刑を警戒しているというよりは、死刑制度を存置させている国へ自国民を引き渡すことに対する国民への配慮が理由と言っていいかもしれません。

いずれにしても日本がこの条約を締結している国は少ないわけです。

条約締結国間でも引き渡されるのは相当容疑が濃厚な場合ということになるので、冒頭で取り調べてみないとわからないと書きましたが、実際にはほぼ犯人と言えるような場合に引き渡されることになります。

ただし、これはあくまで日本側での犯罪ということになりますから、日本でどのような罪になるかどうかは日本法によるわけです。

相手国が日本での罪名がどのようなものなのか、その罪名で良いのかなどどこまで検討しているのかは不明です。

犯罪的な行為は行ったが日本で罰すべき犯罪かどのようなものかが怪しいというケースですと、容疑自体の慎重な検討が必要ということになります。

今回の場合は犯人隠避罪での容疑ということになるので、あまり怪しいところはないということになりそうです。