福岡地方裁判所でコロナ解雇を巡る裁判の判決がありました。

従業員20名を抱える外国人観光客を中心に営業をしていたバス会社ですが、コロナの影響により昨年の売上が減少していました。

昨年3月から極端に売上が減っていて、5月にはゼロになっていました。

3月に2名の運転手が解雇されましたが売上減少の経過を見ると解雇しているから耐えられたという要素もなくはありません。

にもかかわらず解雇が無効と判断されたのは経営者側には厳しい判断と言えます。

裁判所も人員削減の必要性自体は認めています。

それでも解雇が無効と判断されたのは解雇に至るまでの経緯に問題があったからです。

経営状態が厳しいとしても人員削減イコール解雇ではないだろうという判断です。

人員削減が必要なら希望退職を募るなどなるべく解雇を避ける努力をして、それでもだめな場合に許容される手段と考えているのです。

また人員削減手段に対する説明義務も果たされていないことも影響したようです。

どのような事情からどのような手段が取られるのか判断できなければ交渉や代替手段を考えることも難しくなるからです。

とるべきステップをきちんと踏まなければ、今のような状況下でも解雇が無効と判断される可能性があるということです。

基本的には争われている事情以外のことを考慮して判断するということはないのですが、このようなご時世で安易な解雇に警鐘を鳴らすという意味合いもあって今回の判決につながってるような気がします。