コロナウィルスの影響により外出が自粛されていることもあり、様々な手続きで期間の延長などが認められています。

例えば今年も確定申告の期間が延長されていました。

相続に関してもこの期間の延長があります。

コロナウィルスの影響でなくても元々事情がある場合には相続に関する期間延長の申立が認められています。

この制度がコロナウィルスの影響による場合も正当な理由として認められるということです。

具体的には相続の放棄(民法第938条)や限定承認(民法第922条)の制度についてです。

相続はプラスの財産(積極財産)だけでなく借金などのマイナス財産(消極財産)についても生じます。

これを相続財産のうちプラスの財産のみ相続するというように選択することはできません。

そのため借金の方が大き場合は相続の放棄をしないと借金を負うことになります。

また、このように借金を相続する場合でも相続するプラスの財産の限度でのみ弁済するという制度があります。

これが限定承認と言われるものです。

いずれも自己のために相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。(民法第915条ないし民法第917条)

「自己のために相続が開始したことを知った時」とは被相続人が亡くなったこととそれによって自分が相続人になったことを知った時を意味します。

ただし同居の親族の場合は余程のことがない限り、自分が相続人だとは知らなかったという言い訳は通用しません。

3ヶ月以内に手続きしないとどうなるかといえば、単純承認したものとみなされます。

つまりプラスの財産だけでなく借金などのマイナス財産があればそれを相続してしまうということになります。

このように本来3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きしなければなりませんが、3ヶ月以内に相続するか、放棄または限定承認するか決められない事情がある場合は、期間延長の申立をすることができます。

そして期間内に決められない事情の1つとしてコロナウィルスの影響による場合も認められるのです。

コロナウィルスやその他の事情により期間内に相続に関する方針を決められない方は、この制度をご活用ください。