今国会で裁決が見送られた出入国管理法の改正案について、この改正案に反対するアーティストらがウェブサイト上に反対の意思を表明する作品を公開しました。

作品を公開したアーティストの方たちは声明文の中で「アートは不可避的に文化の融合を含みます。移民・難民の経験や、またその人たちと、その文化とのコミュニケーションが、多くのアート作品の源泉や主題となっています。」とコメントしています。

芸術に関わる人達が、実生活、特に法制度に関心を持ち、自らの表現として作品を通じて意見を表明するというのは素晴らしいと思います。

主張のとおり、様々な国の人が日本を行き来し、滞在できるようになればよいのですが、なかなか理想どおりには行きません。

国というくくりがあり、その主権を維持する以上、自国民とそうでない人の区別はつけざるを得ないし、秩序維持や滞在に伴うコスト負担を考えると規制はせざるを得ないのです。

ただ、その規制の仕方が、現行法やその運用ではあまりに外国人の人権に配慮を欠いているのではないかという状況が出てきています。

スリランカ人女性の問題にしても、法制度以外にも現場での人の対応が、人としての配慮に欠けていたのではないかと言わざるを得ません。

芸術は人の心の問題と深く関わっているため、今回の活動は、その意味でも有意義なのだと思います。

ただ、芸術と対極にあるように感じられる事務方の法案作成も重要で、芸術的と言わないまでも、日本人と外国人双方が共存しやすい新しい改正案は、現在日本国内に対しても、海外に対しても、最大の表現となりうると思うのです。