髪を黒く染めるよう学校で指導されたことで精神的苦痛を受けたとして慰謝料を求める訴訟の控訴審判決が大阪高等裁判所でありました。
この事案で注意しなければならないのは茶髪などに染めて、それを元に戻すように指導されたのではなく、もともと地毛の色が黒くない生徒が黒く染めるよう指導を受けたことです。
第一審、控訴審ともにこのような指導に違法性は認めませんでした。
染色の強要は人格権の侵害だとして争われたのですが、第一審では染色を禁じた校則は生徒を規律するための裁量の範囲内とされ、校則やこれに基づく指導が違法と認定されることはありませんでした。
しかし校則で染色を禁じているなら、地毛が黒くない生徒の髪を黒く染めるように指導することは問題があるように思えます。
実際は生徒一人ひとりの実情を把握することは困難だという事情があるのではないでしょうか。
髪を染めることが学校での規律を守ることにつながることは少ないのだと思います。
しかし地毛であるなら黒く染めろというのは、明らかに自由の制約つまり侵害に当たるように思います。
この問題で行き過ぎではないかと感じる理由がもう1つ私にはあります。
私の同級生で頭頂部部分の髪の色が途中から茶系(赤っぽい)人がいたのです。
実際に見てみないと伝わりにくいとは思いますが、髪の毛の色が途中から変わり、頭頂部を染めて地毛の色が根本部分に出てきたように見えるのです。
地毛でこのような人がいるので、学校側も指導一辺倒ではなく、このような人もいるのだという理解を教えることも教育の一環ではないでしょうか。