読売新聞オンラインの記事によれば、脱税などの過関与した疑いで国税当局の調査を受けた税理士のうち、調査中に懲戒処分を免れるために自主廃業したと見られるケースが過去約10年で50人超いることがわかりました。

中には懲戒処分を免れた後、数年で税理士登録し業務に復帰している者もいるようです。

このような手口は他士業でも昔からあったため、他の士業では懲戒処分逃れの廃業が認められない、というよりも廃業したところで懲戒処分を免れられない制度になっている士業もあります。

税理士では廃業すれば懲戒処分されなくて済む制度になっていたようです。

恐らく、税理士である以上脱税に関わらないのが当然であるし、関わったら処分されるのが当たり前という考えに立っていたのだと思いますが、脱税に関与しながら懲戒処分を免れるために一時的に廃業する人間が出てきてしまったのだと思います。

廃業後でも調査や処分をすることが可能な制度へと制度改正も検討されているようです。

少なくとも性悪説的な考えに立てば、懲戒処分逃れで廃業しようとする人間が出てくることは予測できるわけですから制度を変える他ないのだと思います。

どうも、このような実情が明らかになったきっかけは、某税理士法人の所長が不正な業務を行うように指示を出していたことにあるようですが、そこの所員(税理士)が、再三そのようなことをさせないでほしいという要望を出しているうちに、結局不正が明らかになり、所員の方は懲戒処分を受けることになったようです。

ところが、指示を出していた所長は、廃業することによって懲戒処分を免れたことから、不正に関与した者として名前も表には出なかったのです。

このような事情により、取材が進んだのだと思います。

懲戒制度を変更するだけでなく、組織に所属している士業について、不正な業務についての指示から身を守る制度の創設も必要ではないかと思います。