新しく内閣が組閣される時、閣僚候補には身辺調査が行われると言われています。

大臣などに就任後、お金絡みや異性絡みの問題で、直ぐに辞任となれば、任命責任を問われかねないからです。

このような調査が、法律上の根拠に基づき民間人にも行われる可能性が出てきています。

現在、国の重要な経済情報にアクセスできる人間に対する身辺調査を根拠付ける法律の制定が検討されているのです。

経済安全保障上のセキュリティ・クリアランス制度を導入する法案です。

法案の内容としては、犯罪・懲戒歴や薬物の使用、飲酒の節度、精神疾患、借金の状況など7項目を国が調べ、秘密を守ることができる人物かを確認することになっています。

同時に、セキュリティ・クリアランスを名目にプライバシー侵害が行われる可能性もあるため、慎重な議論が必要です。

対象となる情報も、電気や鉄道、通信などのインフラのほか、半導体や鉱物資源などの供給網に関して国が保有する情報のうち、他国に流出すると安全保障に支障を及ぼすおそれがあるものを「重要経済安保情報」に指定することになっています。

これだけでは対象を絞り込めません。

特に半導体などは様々な機器に使用されるので、国の安全に支障があるか、無いかと言われれば、支障が出る可能性を否定し切れません。

つまり、重要経済安保情報に指定されて不思議はないということになってしまいます。

重要経済安保情報に指定されれば、そのような情報にアクセスする立場にある人間は、セキュリティ・クリアランスと称して身辺調査されかねないことになるのです。

このように収集された情報が、特定秘密保護法で保護されて開示されないことになるのか、本人に開示されることになるのかも不明確なままです。